久しぶりの関東。以前から食べに行ってみたいものがあった。
東京の墨田区向島にある長命寺桜もち。
桜餅には、ざっくり分けると関東風と関西風がある。
関東風は、小麦粉を水で溶いて薄く焼いた生地で餡を包み、桜の葉でくるんだもの。
一方、関西風は、道明寺粉を使ったつぶつぶした生地で餡を包む、いわゆる道明寺。
同じ「桜餅」なのに、見た目が違う。関西生まれの私は関東風の長命寺の桜餅は食べたことがないかもしれない。
店舗に向かうと開店時間より少し早く到着したので店舗の裏手にある長命寺を訪れて時間をつぶすことにした。

境内には幼稚園も併設されていた。


周辺には隅田川七福神というものがあり、長命寺は弁財天が祀られていた。


関東風桜餅の長命寺
長命寺の桜餅は、江戸時代の享保2年、1717年に生まれたとされている。
長命寺桜もち山本やの創業者の山本新六が、隅田川沿いの桜の葉を塩漬けにし、それで餅を包んで売り出したのが始まりだという。
店内で煎茶付きで500円でいただくことができる。


長命寺桜もち
桜の葉は、塩漬けにすることによりクマリンという芳香成分が生じ、あの独特な香りがする。最初に気づいたのはすごいと思う。

小麦粉の生地は薄く、いわゆる焼き皮のような感じ。山本やの桜もちは桜の葉を食べないのがおススメだそうだ。関東の桜餅でピンク色に着直されているものが多いそうだが、元祖は無着色。生地にほんのりと桜の葉の香りが移っていて上品な味わい。


道明寺のようなもちもち感を楽しむというより、薄い皮と餡、そして桜の葉の香りを味わう桜餅だった。
関西風桜餅の道明寺
せっかくなので関西風の道明寺の桜餅も食べ比べることにした。
関西風の桜餅に使われる道明寺粉は、大阪・藤井寺市の道明寺に由来する。道明寺粉は、もち米を蒸して乾燥させ、粗く挽いたもの。
もともとは保存食・携帯食として使われた「糒(ほしいい)」がルーツだという。
つまり、道明寺は最初から桜餅のために生まれたものではない。保存食だったものが、のちに和菓子の素材として使われるようになり、桜餅にもなった。
江戸で生まれた桜の葉を巻く菓子の文化が関西にも伝わり、関西では小麦粉の薄皮ではなく、道明寺粉を使った形に変化していった。
現在「関西風の桜餅」として親しまれている道明寺の桜餅は、明治時代以降に広まったものとされている。
特に京都・嵯峨では、明治30年頃に「嵯峨名物桜餅」として売り出された記録があるらしい。その作り方を守り続けているのが鶴屋寿らしいので取り寄せてみた。


パンダンリーフに漬けたジンが餅に合うので一緒にいただいた。モチモチとした道明寺粉の桜餅は長命寺の桜餅とはまた違う美味しさがある。こちらも着色されておらず白色だが、これは桜餅を卸していた吉兆の湯木貞一氏のアドバイスだそうだ。
こちらも桜の葉を取り除いて食べるのがおススメ。


葉を取り除いても、しっかりと桜の葉の香りが移っていて美味しいが、パンダンリーフジンと合わせるには桜の葉の塩気が合うので二個目からは葉っぱも一緒にいただくことにした。塩昆布も添えると更によい。

ちなみに長命寺の山本やも、道明寺の鶴屋寿も桜の葉は今は伊豆大島の桜の葉を使用しているそうだ。



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